志野傘車輪文平向付
- 岐阜県・美濃窯
- 桃山時代
- 16世紀
- 美濃陶製
- H-4 D-17
桃山時代を代表するやきものである志野は、瀬戸黒とほぼ同じ頃に焼き始められた日本で最初の白い焼物であり、絵筆で文様の描かれた最初のやきものでもあった。無地志野が基本であるが、その本領は、釉下に鬼板と呼ばれる酸化鉄で鉄絵が施された絵志野にあるというべきであろう。その他、赤志野、練上志野、鼠志野など、多様な作風が展開された。志野は、織部とともにまさに日本の食器を代表する花形といえよう。志野には唐津焼と共通した文様や意匠が多く見られ、両者の交流をうかがわせるのが興味深い。これは2輪の車と大きな傘の絵が描かれた平鉢で、鬼板の赤い発色もよく、一客なのが惜しい作品である。