「花の香や」自画賛 与謝蕪村筆「はなのかや」じがさん

  • 江戸時代十八世紀
  • 紙本墨画淡彩 軸装
「花の香や」自画賛 与謝蕪村筆 若冲と蕪村 図録解説

「花の香や」自画賛 与謝蕪村筆 若冲と蕪村 図録解説
 嵯峨野の山並みを背景に、竹林と数軒の民家を描く。竹林の合間からかすかに胡粉の白と薄い赤色による桜の花がみえる。画面上には五行にわけて「花の香や嵯峨のともしび消ゆる時」と書く。季語は「花の香」で春の句。意味は嵯峨の夜桜の灯火が消えて、真っ暗になると、桜は見えないがほのかな香りは漂ってくる。安永六年(一七七七)刊行された『花七日』に収録されており、句の成立はこれ以前と考えられる。本図では、民家のなかの灯火が消えていることを表すため、窓や戸の部分を黒く塗っている。
 署名は「夜半」とあり、下に「東成」(白文方印)を捺す。