地蔵菩薩立像じぞうぼさつりつぞう

  • 鎌倉時代 13世紀
  • 木造着色
  • 高さ:73.5cm
  • 重要文化財

地蔵菩薩立像は、剃髪し袈裟(けさ)と覆肩衣(ふげんえ)と呼ばれる衣を着け、左手に宝珠、右手に錫杖を執るという一般的な像容で、表わされています。引き締まった容貌、細身の体躯は、あたかも凛々しい青年僧を見るかのごとくです。地蔵菩薩は、釈迦が入滅してから56億7千万年後、すなわち弥勒が出生するまでの長い期間、人びとを済度する役割を担っているとされています。それゆえ、菩薩でありながら剃髪した僧侶の姿をとり、現世遊化という性格から、左足を半歩踏み出して歩行の姿を表します。平安時代以降、右手に錫杖を執る像が多くなったのも、この菩薩が浄土に住まず、この世に留まりつづけて遊行しているという信仰に基づくからに他なりません。
顎の張った面相に、切れ長で見開きの強い目を配した意志的な面貌は印象深く、着衣に施された高度で美しい着彩と切金の文様が、更なる魅力となっています。

日本一覧へ