常滑自然釉壺とこなめしぜんゆうつぼ

  • 愛知県・常滑窯
  • 鎌倉時代
  • 13c
  • 自然釉陶製
  • H-37.5 D-34

 いわゆる六古窯に代表される中世陶器のなかで、常滑は最大規模を誇った。愛知県知多半島の常滑市を中心にその一帯で焼かれた窯は三千基以上に上る。平安時代後期に始まる常滑は鎌倉時代から室町時代にかけて盛んに焼かれ、全国に与えた影響は非常に大きい。この壺は鎌倉時代中期のもので、胴で継いで成形している。肩のあたりに巴文が見られる。これは神社に奉納したものという特別な意味を持つ。福島県いわき市の神社に同類の伝世品が残っている。

常滑窯(とこなめ)

愛知県知多半島に分布する中世に始まる一大窯業地です。1000基以上の窯跡があり、12~16世紀にかけて壺、甕、鉢などを大量に生産しました。その商圏は太平洋沿岸を中心に北は青森から南は種子島にまで及んでいます。

常滑経甕

よりこづくり(撚子づくり)

「よりこ」とは常滑地方で用いられていることばで、壺や甕を紐づくりする時の粘土の紐のこと。粘土を棒状に台の上でねるのでよりこと呼びました。よりこづくりは台の上で回しながらよりこを積み上げて甕などを形づくっていく成形法。常滑の紐づくりは大型のものが多く、紐というよりも棒といえるほどの太さがあります。


常滑経甕