備前火襷桃形鉢
- 岡山県・備前窯
- 桃山時代―江戸時代
- 16-17世紀
- 焼締陶
- H-6.1 D-24.1
- 所蔵
- MIHO MUSEUM
解説(春の玉手箱)
備前焼は、岡山県和気郡伊部一帯で作られた陶器。平安時代の須恵器から発展し、壺・甕・擂鉢を主体に焼かれた。釉を掛けず土味を生かしているのが特徴だが、窯内での状態により、千変万化する。
この桃形鉢は備前特有の木目細かな明るい肌色の胎土に、火襷と呼ばれる鮮やかな緋色の文様が浮かび上がっている。火襷はもともと窯詰めの際に接触による欠損を防ぐために巻かれた藁が焼き付いて生じたもので、その巧まない美しい緋色が賞玩される。桃の形もさりげなくデザインされており、桃太郎伝説の残る備前ならではの妙味がある。