春季特別展

本展覧会は終了しました。

終了した展覧会の情報ですので、ご注意ください。

日本人にとって、もてなしとはご馳走することでした。ご馳走とは文字通り、馳せ(馬を速く走らせ)走り(人が走り)、いろいろな食材を集めて客をもてなすことです。力を持つ者にとっては、その力を表すためのご馳走になりますので、政治的な宴会料理は、豪華さを競うような方向に発展しました。見た目は立派でも、とてもおいしいとはいえぬ料理になってしまいました。
ところが、こうした宴会料理に真っ向から対立する考えを持った料理が、桃山時代、茶の湯の成立と共に現れました。それが茶の湯の「懐石」です。懐石とは“ふところの石”。禅僧が坐禅を組む時、石を温めて懐にいだき、一時の空腹をおさえたという伝承から生まれた言葉で、お茶をおいしく頂くための簡素な料理の呼び名です。それは豪華な献立を誇るのではなく、心のこもった、おいしくて実のある新しい料理の形でした。
懐石にはいくつかの特徴が挙げられます。お客様が料理を一番おいしく召し上がれるよう、出来立てを一品ずつ運ぶこと、亭主自ら給仕し楽しく主客交流すること、遠くの珍しい食材に重きを置かず身近な旬の食材を客の好みに合わせ工夫する事、最後まで頂いてもお腹に丁度良い量であること、さらに、料理にふさわしい器を楽しむことなどです。この形をはじめたのは千利休であり、江戸時代中期頃にはさらに形式が整い、今日の懐石となりました。
MIHO MUSEUMの創立者である小山美秀子は、娘時代から茶の湯の稽古をたしなみ、茶の湯は人として基本の礼法や常識を育む高度な日本文化であると考えていました。MIHO MUSEUMのコレクションは、茶道具から始まったのです。
本展覧会では所蔵の懐石の器から、名品を選りすぐって展観します。また江戸時代の近衞家当主であり貴族として最高の茶人でもあった近衞予楽院の茶会記をもとに、当時の茶会で乾山や和ガラスの器がどのように使われていたかもご覧いただきます。最後の展示室では、当館所蔵の大井戸茶碗「小一文字」(益田鈍翁・松永耳庵旧蔵)を初出品し、光悦や乾山の名碗と共に、茶道具の取り合わせもお楽しみ頂けます。日本人の豊かな感性が生み出してきた懐石の器を、どうぞお楽しみ下さい。

■「懐石とは」
(約4分)

■「器と料理」
(約3分)

■「懐石とは」
(約4分)

■「器と料理」
(約3分)

基本情報

会期
2022年3月19日 - 2022年6月5日
会場
北館(南館の展示もご覧いただけます。)
備考
<重要なお願い>
◆事前予約制
◆マスク着用
◆検温
 詳しくはこちら

<営業の主な変更点>
◆各種割引の休止
◆レストラン・カフェ縮小営業
 詳しくはこちら

展示品リスト

展覧会チラシ(pdfファイル)

関連プログラム

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レストランと展覧会のコラボレーション企画
完全予約制 懐石コース『桃谷懐石』

「懐石の器」展をレストランでもご堪能いただく特別企画です。レストラン別室にて、煮えばなのご飯からお抹茶まで、順を追ってお出しいたします。

こちらのイベントは終了しました。

熊倉功夫館長 連続対談 第1回
講演者  筒井紘一氏(茶道資料館・顧問)
日時 4月14日(木) 13:30~14:30

■場所:南レクチャーホール(美術館棟内)
■定員:50名(メールによる事前申込制:入館予約を兼ねます。)
■参加費:無料(入館料要)
定員に達しましたので、受付を終了しました。
■対談収録動画を当HPにて12月11日まで公開中(上記)

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熊倉功夫館長 連続対談 第2回
講演者 後藤加寿子氏(料理研究家)
日時 4月24日(日) 13:30~14:30

■場所:南レクチャーホール(美術館棟内)
■定員:50名(メールによる事前申込制:入館予約を兼ねます。)
■参加費:無料(入館料要)
定員に達しましたので、受付を終了しました。
■対談収録動画を当HPにて12月11日まで公開中(上記)

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熊倉功夫館長 連続対談 第3回
講演者 丸山嘉桜氏(祇園丸山・店主)
日時 5月15日(日) 13:30~14:30

■場所:南レクチャーホール(美術館棟内)
■定員:50名(メールによる事前申込制:入館予約を兼ねます。)
■参加費:無料(入館料要)
定員に達しましたので、受付を終了しました。
■対談収録動画を当HPにて公開予定

展示作品

北館

春季特別展

「懐石の器 炉の季節」