瀬戸唐津茶碗せとがらつちゃわん

  • 佐賀県・唐津窯
  • 桃山~江戸時代
  • 17c
  • 瀬戸唐津陶製
  • H-5.8 D-16

 やや粗い白土に長石の多い白色釉がかかった姿が、志野などの瀬戸系のものに似ているところから、この手のものを瀬戸唐津と呼んでいる。この茶碗は底が厚く、やや大振りの姿をなしている。全体に釉ひびが入ってその一部に火間があり、それが逆に見どころとなっている。見込みの茶溜まりは小さい。皮鯨の色濃さが口元をキリッと引き締める効果を生み、姿形の整った口の欠けも気にならない一級の瀬戸唐津茶碗といえる。内箱の蓋書は、表に片桐石州、裏に小堀権十郎(遠州の二男で二代宗慶の弟)が記している。

唐津焼(からつ)

佐賀県西部から長崎県一帯にかけて焼かれた陶器。窯跡は広範囲に広がっています。開窯時期は天正年間とされていますが、大々的に発展したのは豊臣秀吉による文禄・慶長の役(丁酉倭乱)(ていゆうわらん)で朝鮮の陶工たちが日本に連れてこられて以降のことです。桃山時代の作品は特に茶陶に優品が多く、江戸時代前期までその様式は引き継がれました。


奥高麗茶碗 銘 入舟 絵唐津水指 銘 十字むしもち 絵唐津筒向付 絵唐津柳文輪花向付 絵唐津矢文向付 奥高麗水指 銘 明月 唐津大皿 本手瀬戸唐津茶碗 銘 雲井

瀬戸唐津とは(1)

 骨董家のいわゆる唐津名物の一つ。瀬戸唐津、本手瀬戸唐津の二種があって、前者はその骨董的価値が高い。尾張瀬戸の釉を用いるがゆえにこの名があるといい、また瀬戸に酷似している唐津であるがゆえにこの名があるという。白土で白色釉を施す。亀甲形の釉ひびがあって、そのひびが極めて大きい。平茶碗風で口縁に黒釉を施したいわゆる皮鯨が特色である。本手の方は碗形で、茶家の間では本手の方が皮鯨手より古いという。(淡交社「原色陶器大辞典」より)

本手瀬戸唐津茶碗 銘 雲井

瀬戸唐津とは(2)

 茶碗の一種。唐津の漉土を使い、瀬戸の上釉を用いて焼成したゆえにこの名があるという。焼出した窯は未詳。砂気の多い白土で、白色釉が施され、釉ひびがある朝顔形の平茶碗で、高台は低く、口縁に鉄釉の口紅が施され、俗に皮鯨と称される。中国定窯・磁州窯などの天目茶碗にヒントを得たものであろう。また本手瀬戸唐津といわれる深手の碗形茶碗もあり、唐津鬼子嶽飯洞甕下窯・同上窯・帆柱窯・道納屋谷窯などから類似の破片が発見されている。(淡交社「原色茶道大辞典」より)

本手瀬戸唐津茶碗 銘 雲井