続古今和歌集断簡(六帖切)(伝藤原行成筆)ぞくこきんわかしゅうだんかん ろくじょうぎれ ふじわらのゆきなり

  • 鎌倉時代
  • 13c
  • 紙本墨書
  • H-21.7 W-11.6
  • 所蔵
    近衛家伝来

縦 20.9cm
横 11.6cm
鎌倉時代(13世紀)

 文永二年(1265)、藤原為家・藤原基家らによって撰進された勅撰集『続古今和歌集』の断簡。鳥の子の香紙に書かれた、やや肥痩の変化に富んだ筆跡は鎌倉時代末のものであろう。もとは巻子本であったと考えられる。
 『続古今和歌集』の断簡としては、「朝倉切」「続古今集切」「間宮切」などいくつかが知られるが、装飾料紙を用いたものは、この「六帖切」以外にはない。「六帖切」の名の由来は定かではないが、『続古今和歌集』所収の和歌を中心にそれ以外の歌をも収めた歌集(歌集名不明)断簡で「六帖切」なる古筆切があり、あるいはそれと混同されて付けられた名前かもしれない。なお「六帖切」はもと冊子本。

 鳥の子の香紙に書かれた、やや肥痩の変化に富んだ筆跡は鎌倉時代末のものと思われる。「続古今和歌集」の断簡としては「朝倉切」「続古今集切」「間宮切」などいくつかが知られるが、装飾料紙を用いたものはこの「六帖切」以外にはない。「六帖切」の名の由来は定かではないが、「六条切」なる古筆切があり、あるいはそれと混同されてつけられた名前かもしれない。中縁に配された美しい裂地も見どころのひとつである。

和歌

平安時代から鎌倉時代初期にかけての和歌などのかなの書は古筆(こひつ)と呼ばれます。本来は古人の筆跡を意味する言葉でしたが、いつの頃からかそう呼ばれるようになりました。王朝文化の精華ともいうべき古筆は、茶席の一幅として、国文学の文献として、そして学書の規範として、非常に価値の高いものといえます。

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読み下し

(そほつたつ 山田の池は 今も猶 心深し)
 な うきせはあれとも
 あきのたに たゝぬはかりそ きみこふる そてのそ
 ほつに ならぬひはなし
 あしひきの 山たにたてる そほつこそ おのか
 たのみを 人にかくれな
 春野
 くさもきも みどりにみゆる はるのゝに 雨降
 そめは 色やまさらん