新古今和歌集断簡(伏見天皇筆)
- 鎌倉時代
- 13-14c
- 彩箋墨書
- H-30.6 W-48.8
鎌倉時代の天皇は学問とともに、和歌・詩文・書にも励んだため能書家が多く輩出した。その筆跡は力強く、すぐれたものが多いことから、特に鎌倉時代の天皇の筆跡は宸翰様と呼ばれる。伏見天皇は第九十二代天皇で、和歌と書に長じ、その書風は伏見院流と呼ばれた。御製も多く、「新後撰集」以下の勅撰和歌集に245首が選ばれている。小野道風・藤原佐理(すけまさ)・藤原行成(ゆきなり)の、いわゆる「三蹟」の上代様に学んだ流麗な筆跡は穏やかで潤いに充ち、美しい料紙が上代様をいっそう華やかなものにしている。
和歌
平安時代から鎌倉時代初期にかけての和歌などのかなの書は古筆(こひつ)と呼ばれます。本来は古人の筆跡を意味する言葉でしたが、いつの頃からかそう呼ばれるようになりました。王朝文化の精華ともいうべき古筆は、茶席の一幅として、国文学の文献として、そして学書の規範として、非常に価値の高いものといえます。
文保百首断簡(伝亀山天皇筆)
元暦校本万葉集
天治本万葉集巻第十断簡(仁和寺切)
続古今和歌集断簡(六帖切)(伝藤原行成筆)
麗花集断簡(香紙切)(藤原公任筆)
詠草(藤原定家筆) 五月雨
春日懐紙(中臣祐方筆)
桂本万葉集巻第四断簡(栂尾切)
読み下し
水郷春望
見はたせば山もとかすむ
みなせ川ゆうへハ秋と
なに思ひけむ
雨中木繁
たまかしはしげりにけりな
五月雨に葉もりの神の
しめはふるまて
宸翰とは
天皇の筆跡のことで、宸筆ともいう。古代の宸翰は数少ないが、中世、近世のものは多く残っている。鎌倉時代の天皇は学問、詩文・和歌・書に精励したため能書家が多く輩出した。その筆跡は巧妙で力強く、すぐれたものが多いことから特に宸翰様と呼ばれている。
文保百首断簡(伝亀山天皇筆)