黄瀬戸輪花向付
- 岐阜県・美濃窯
- 桃山時代
- 16世紀
- 美濃陶製
- H-6 D-16
桃山時代を代表するやきもののひとつに黄瀬戸がある。黄瀬戸には、透明で光沢があり俗に「菊皿手」「ぐい呑み手」と呼ばれるものと、油揚のような潤いのある釉調の「菖蒲手」「油揚手」と呼ばれるものとがある。特に後者は温雅な作風で茶器としてすぐれたものが多い。
鎌倉時代の古瀬戸の流れを汲む釉が変化して、天正年間にいわゆる油揚手の黄瀬戸が生まれた。その全盛期を迎えた天正末から文禄、慶長期には、油揚手だけではなくよく釉の溶けたものも多く焼かれ、鉢や向付などの食器類が圧倒的に多く生産された。この鉢もそのひとつで、輪花を象った口縁部や器内には草花の印刻文が施されている。幅の狭い鍔に深めの見込みで、そこに生じた胆礬は他にあまり類例を見ないほど色濃いものとなっている。